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日本公認会計士協会による「テクノロジー委員会研究文書第12号「受託業務に係る内部統制の保証報告書の発行状況に関する研究文書」」の公表
2025年2月17日に日本公認会計士協会は、「テクノロジー委員会研究文書第12号「受託業務に係る内部統制の保証報告書の発行状況に関する研究文書」」を公表しました。
近年、コスト削減や業務効率化、専門スキルの活用といった利点から企業活動においてクラウドサービスなどの外部委託業務の利用が幅広く採用されていますが、外部委託業務の利用は情報漏洩や業務品質の低下、不正アクセスといったリスクも伴うため、委託会社は外部委託先を適切に管理する必要があります。ここで、外部委託先を適切に管理する手段のひとつとして、受託業務に係る内部統制の保証報告書が挙げられます。
本研究文書では、受託業務に係る内部統制の保証報告書の普及促進を図るために受託会社59社へのアンケート結果を基に、保証報告書の発行状況を詳細に分析しています。アンケートは主に次のような内容となっています。
1.財務報告に関連する受託業務に係る保証報告書を発行しているか否か
2.準拠している財務報告に関連する受託業務に係る保証報告書の基準は何か
3.準拠している財務報告に関連しない受託業務に係る保証報告書の基準は何か
4.受託業務に係る保証報告書の対象となるサービスの対象は何か
5.受託業務に係る保証報告書が対象とする期間はどの程度か
6.受託業務に係る保証報告書に掛かる費用はいくらか
また、本研究文書内では受託業務に係る保証報告を発行することが望まれるサービスが例示されています。たとえば財務報告に関連する受託業務であれば管理を外部委託先に大きく依存する会計システムや連結会計システム、ERPシステムといった財務諸表を出力するようなITアプリケーションなどが、財務報告に関連しない受託業務であれば金融、人事・給与管理や医療に関連する業務などが受託業務に係る保証報告書の発行が望まれるサービスとして列挙されています。
さらに、付録としてアンケートにより回答内容公表の許諾を得られた会社について、報告書の発行の状況が掲載されています。
以上のように、本研究報告書は受託業務に係る内部統制の保証報告書の発行状況を理解するうえで非常に有用な文書となっておりますので、詳細を日本公認会計士協会の公式ウェブサイトでご確認ください。
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20250217cia.html