Audit Topics
(Japanese only) 監査・保証実務委員会実務指針第103号「訂正報告書に含まれる財務諸表等に対する監査に関する実務指針」の公表について
日本公認会計士協会より、2021年8月26日に監査・保証実務委員会実務指針第103号「訂正報告書に含まれる財務諸表等に対する監査に関する実務指針」が公表されました。
1.本実務指針の概要
有価証券報告書等の提出会社において過年度の不正又は誤謬による虚偽表示が発覚し、それを原因として訂正報告書が提出され、訂正後の財務諸表に対する監査が実施される場合、監査人は適切な監査対応を行う必要があります。本実務指針の目的は、このような場合に、監査人として、監査業務の受嘱、監査計画の策定と監査手続の実施、内部調査委員会又は第三者委員会の調査報告書の利用の可否等の判断、監査人が交代している場合の対応、監査意見の表明等において監査上留意すべき事項を取りまとめ、実務上の適切な対応に資することです。
日本公認会計士協会は、過年度の虚偽表示が疑われる場合の対応について、監査人の立場からの留意事項を整理したものとして、下記を公表しています。
・監査・保証実務委員会研究報告第25号「不適切な会計処理が発覚した場合の監査人の留意事項について」(2012年3月22日)(以下「監保研25号」という。)
・監査・保証実務委員会研究報告第28号「訂正報告書に含まれる財務諸表等に対する監査上の留意事項について」(2013年7月3日)(以下「監保研28号」という。)
しかしながら、これらの公表から相当程度時間が経過し、現時点の取扱いと整合しない部分が監査人の業務をミスリードするおそれがありました。また、訂正財務諸表監査が必要な状況下での利用に当たり、訂正財務諸表監査に関する不備が確認されています。
そのため、上記の課題を踏まえ、監査の実施に当たり優先して実施すべき事項の明確化を図るため、訂正報告書の提出が必要となる状況における監査人の対応について、新たに本実務指針が公表されました。
実務指針の概要
・監保研25号及び監保研28号の両者を踏襲し、統合の上、一体化する。
・実施が求められる要求事項については、監保研28号に記載の内容のうち、訂正後の財務諸表等に対する監査に特有の事項の八つのみとし、その他は監査基準委員会報告書の規定を踏まえ適用指針とする。
・両監保研における「不適切な会計処理」という用語は様々な意味で使用されていたので、状況に応じて「過年度の不正又は誤謬による虚偽表示」などの表現に改める。
2.適用時期
2022年1月1日以後に監査報告書を発行する訂正後の財務諸表に対する監査に適用されます。ただし、2021年12月31日以前に監査契約が締結された訂正後の財務諸表に対する監査においては、本実務指針を適用しないことができます。
なお、本稿は本実務指針の概要を記述したものであり、詳細については下記をご参照ください。
日本公認会計士協会