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(Japanese only) 「令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しを受けた監査上の対応について(お知らせ)」の公表について

(Japanese only)

日本公認会計士協会より、2021年9月30日に「令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しを受けた監査上の対応について(お知らせ)」が公表されました。

 

1.本公表物の概要

令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しに伴い、国税関係帳簿書類及び電子取引の取引情報の保存制度の見直しが行われ、2022年1月1日から施行される予定です。

 

〈令和3年度税制改正における電子帳簿等保存制度見直しの概要〉

電磁的記録の作成・保存方法

主な改正内容

電子文書保存・・・自己が最初から一貫してシステム等を使用して作成したものを保存

・税務署長による事前承認制度の廃止

・最低限の要件で電磁的記録による保存が可能

・優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の整備

スキャナ保存・・・紙を変換して電子化して保存

・税務署長による事前承認制度の廃止

・適正事務処理要件(相互けん制、定期的な検査及び再発防止策の社内規程整備等)が廃止

・タイムスタンプ要件、検索要件等について要件が緩和

・保存データに偽装等があり重加算税の規定に該当する場合の罰則強化

電子取引・・・取引記録を電子的に入手した上で保存

・電子取引の取引情報について電磁的記録での保存を義務付け

・電磁的記録の訂正

・削除を防止する措置の見直し

・タイムスタンプ要件及び検索要件について要件が緩和

・保存データに偽装等があり重加算税の規定に該当する場合の罰則強化

 

今回の電子帳簿等保存制度の見直しでは、特にスキャナ保存制度について、適正事務処理要件が廃止されるなど、適用において大幅な要件緩和がなされ、監査人がスキャナ保存の対象となる書類を監査証拠として利用する場合に、その真正性に関して慎重な検討が必要となる可能性も想定されます。また、同見直しにより、国税関係帳簿書類に関して電子保存を採用する企業が増加すること、又、採用する企業において新たな保存・検索要件等に沿ったプロセスの整備及び運用が求められ、監査人側においても、その対応に関する理解及び監査上の対応に時間を要することが見込まれます。

これに対し、日本公認会計士協会は、本公表物により、「電子帳簿保存制度見直しの趣旨を十分に踏まえ、企業のスキャナ保存制度下において作成されたスキャン文書の利用を前提とした監査計画の策定、監査手続の実施に努めること」及び「下記事項について、事前に被監査会社と協議の上、対応の必要性について考慮すること」を会員各位に求めています。

・被監査会社が、監査対象年度の期中から、スキャナ保存制度を採用する予定があるのかどうか。採用する予定の場合、その対応のスケジュール等

スキャナ保存制度に関しては、適正事務処理要件の廃止、タイムスタンプ要件、検索要件等の緩和等により、スキャナ保存制度を採用する企業の業務処理プロセス及び内部統制に大幅な変更が見込まれるため

・電子取引の取引関係書類の電子データの保管体制

電子取引の取引情報については、当該記録を出力した書面の保存をもって電磁的記録に代えることができる従来の措置が廃止されることにより、授受した電子取引データの保存・管理する事務体制を見直す必要が生じると考えられるため

 

なお、本稿は本公表物の概要を記述したものであり、詳細については下記をご参照ください。

日本公認会計士協会

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20210930dig.html